高脂血症へのスタチン投与の方法、分子メカニズムなど

2018-06-19医学勉強法

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高脂血症への治療方針


高脂血症は、次のような症状に分けられる。

  • 高LDLコレステロール血症・・・LDLが140mg/dl以上
  • 低HDLコレステロール血症・・・HDLが40mg/dl未満
  • 高TG血症・・・150mg/dl以上
  • ここで注目すべきはLDLとHDLの差で、
    いわゆる悪玉コレステロールとはLDL、善玉コレステロールとはHDLのことである。

    Friedewaldの式
    LDL = TC – HDL – (TG/5)

    ここでTCはトータルコレステロールを表す。
    全LDL量を図ることはできないので、コレステロール量に注目して計算することで求めることができる。また、TG値が高すぎる場合にはこの式は使えない。

    患者の重症度の判断材料には

  • 冠動脈疾患の既往
  • 毛細血管性疾患の既往
  • がファーストタスクとして問診されるべきである。
    詳しい問診については下記の問診票を参照。
    これらに当てはまらない場合、高脂血症の因子を見ながらカテゴリ分けする。
    高脂血症のカテゴリ

    高脂血症への第一選択薬、スタチン(statin)

    お薬の写真
    スタチン(statin)は、LDL-cレベル増加に対する第一選択薬である。

    スタチンが作用するコレステロールはどのように作られているのか

    まずは、コレステロールの合成について確認しよう。
    コレステロール合成の手順
    この図に示されているように、コレステロールはアセチルCoAとアセトアセチルCoAからHMGCoAを経て作られる。
    この反応で最も重要な段階はHMGCoAからメバロン酸の生成で、ココに働くHMGCoAリダクターゼが律速酵素として働く。
    律速酵素とは、この一連の反応の起こりやすさを制御する段階(律速段階)に働く酵素のことである。

    スタチン(statin)の機能について

    まずはスタチンの持つ多面的機能について確認する。
    スタチンは次の4つ

  • EC機能障害の逆転
  • 抗血栓
  • 抗炎症
  • プラークの安定性を上げる
  • スタチン(statin)の副作用

    スタチンは筋毒性があり、時に横紋融解症を発症するため、定期的にクレアチンカイネ-スをチェックする必要がある。また、甲状腺機能不全や腎機能障害には使用制限がある。

    スタチンは肝臓で代謝されるものがあり、それらの使用を決定するために患者の肝機能障害を調べておく必要がある。

    妊婦には使えない。

    スタチン(statin)の分子メカニズム

    スタチンが血中LDLを減少させるメカニズム

    スタチンはHMGCoAリダクターゼの抑制作用がある。HMGCoAが抑制されると、結成コレステロール量が減少する。これはSREBPのプロテアーゼ反応を引き起こし、不活性化SREBPを活性化SREBPへと変化させる。活性化したSREBPは核へ移行してSRE配列に結合し、LDLR発現量を上昇させることによって血中LDLの取り込みを促進する。

    スタチンがLDLR発現量に関わる分子メカニズム

    まず、血中コレステロールレベルが低下するとER上のSCAPがこれを感知して、Insig1を切断し、SCAP-SREBP複合体はゴルジ体へ送られる。SCApのReg.とSREBPのbHLHがセリンプロテアーゼによって切断される、活性化したSREBPはさらにS2Pメタロプロテイナーゼによるプロセシングを受けて核へ移行する。核に移行したbHLHはSRE配列へ結合して転写活性化し、LDLRの発現量が上昇する。

    ポイント

    高コレステロール下ではSCAPはInsig1とER上で結合しており、コレステロール感知ドメインのSCAPはCOPⅡ被膜によるゴルジ体への小胞輸送を抑制している。

    スタチンの分子メカニズムまとめ

    スタチン(statin)の分類


    Strongスタチン・・・LDL-Cレベルが脂質管理目標値よりも50以上高い患者に用いる。
    Normalスタチン・・・LDL-Cレベルが脂質管理目標値よりも30程度高い患者に用いる。

    肝障害のある患者には

  • プラバスタチン(prava statin)
  • ピタバスタチン(pitava statin)
  • ロバスタチン(lova statin)
  • のみ使用可能。
    スタチンの分類

    スタチンと併用して使うエゼチミブ

    スタチン単独で効果が得られなかったときは、コレステロール吸収を押さえるエゼチミブを併用することができる。

    エゼチミブは食事由来、胆汁由来両方のコレステロール吸収を低下させることができる。これによってカイロミクロン中のコレステロールが減少し、VLDLへ結合するコレステロールも減少する。この結果、LDLコレステロールの減少とLDLR発現増加が起こる。

    スタチン(statin)の薬理作用まとめ

    コレステロールは以下の過程で作られる。
    まず、アセチルCoAとアセトアセチルCoAにHMGCoA伸たー是が触媒してHMGCoAが作られ、これにHMGcoAリダクターゼが律速酵素としてはたらき、メバロン酸が生成される。メバロン酸は各ステップを経てスクアレン酸となり、スクアレン酸からコレステロールが生成される。

    スタチン(statin)はHMGCoAリダクターゼの阻害剤としてはたらき、コレステロールの合成量を減少させる。

    コレステロールが減少すると、ER上でSCAPがこれを感知してInsig1が切断されてWD,Reg.,bHLHを含むSCAPとSREBP2がゴルジ体へ輸送される。これらはセリンプロテアーゼ反応を受けてプロセシングされ、bHLHは次にメタロプロテイナーゼに触媒された反応を受ける。その後、SREBP2は核へ移行してSRE配列へ結合し、転写を活性化する。

    これによってLDLRの発現量が増加し、血中LDLが減少する。

    スタチンを用いた高コレステロール血症の患者に対する処置

    ①スタチン使用の可否を決める問診

    問診表
    (1)冠動脈疾患の既往があるか
    yes→二次予防
    (2)糖尿病、CDK、非心膜性脳梗塞、PADの既往があるか
    yes→カテゴリⅢ
    (3)喫煙、血圧、血清コレステロール、年齢、性別、家族暦
    →リスクチャートを元に判断
    (4)肝機能障害があるか
    yes→スタチン使用制限
    (5)妊娠しているか
    yes→スタチン使用不可

    以上の検査で患者のカテゴリ、脂質管理目標値、使用できるスタチンの種類を決定する。
    脂質管理目標値については高脂血症治療法で紹介した図を参照すること。

    スタチンの投薬

    (1)患者のLDL-Cレベルが脂質管理目標値より50以上高い時
    Strongスタチンを用いる。
    肝障害がある患者に対しては、ピタバスタチンorロバスタチン

    (2)患者のLDL-Cレベルが脂質管理目標値より30程度高い時
    Normalスタチンを用いる。
    肝障害がある患者に対しては、プラバスタチン

    (3)経過観察
    スタチンの筋毒性に注意して予後観察を行う。
    スタチンの単独使用で十分な効果が得られなかったとき、エゼチミブを併用できる。

    スタチン以外の薬の紹介ーナイアシン

    ナイアシンは水溶性ビタミン。
    LPL活性を高め、VLDLやLDLの異化を促進する。

    肝臓のDGAT2を抑制することで脂肪組織における脂肪酸分解を抑制し、脂肪酸の動因を少なくさせることによるTG合成の減少とapoB分解、VLDL産生を抑える。

    GPR109Aはナイアシンレセプターで、脂肪組織や肌で多く発現している。

    ナイアシンはPKAを不活性化させ、HSL減少によって遊離脂肪酸の減少がおこる。
    肌でのナイアシンはPGD2やPGE2によって発赤や血管拡張を起こす。

    ナイアシンはHDL上昇への効果が最もよい
    特にapoA1の除去現象や産生亢進。
    また、VLDLやLDLの減少はHDLと他のリポプロテイン間CETPが減少し、HDL増加に繋がる。
    ナイアシン
    さいごまで読んでくださってありがとうございます。
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    高脂血症の原因、症状については高脂血症の原因を知ろう!LDLとHDLとは?【医学生向け】をご覧ください。

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    yuki

    日々研究に追われる理系大学生。専門は脳科学。 趣味は囲碁と中国語。 性格はおだやかで人懐っこいと言われる。
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    Posted by yuki