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医学勉強法

高脂血症の原因を知ろう!LDLとHDLとは?【医学生向け】

女医さん

高脂血症は脂質代謝異常の病気です。
このページでは高脂血症について、その症状や原因をメモしています。
医学生向けの高度な内容となっております。

高脂血症の入り口;脂質異常症

脂質異常症の人のお腹
脂質異常症とは、動脈硬化の発症にかかわる脂質異常全般を指す診断名である。
特に、脳梗塞や虚血性心疾患が有名。
血清LDL、TGの上昇、HDLの低下がみられる。

LDLは高いほど危険。
HDLは低いほど危険。

高脂血症の分類

お医者さんのイメージ図
日本人に多い高脂血症はⅡa、Ⅱb、Ⅳ型。

  • Ⅱa、Ⅱbは原発性高コレステロール血症
  • Ⅳは原発性高TG血症
  • 高脂血症に対する薬理学

    LDL、VLDL、CMの増加とHDLの減少は、アテローム性動脈硬化のリスクを上昇させる。
    CMはカイロミクロンのこと。

    以下に各要素における基準値を示す。
    高脂血症の原因要素の基準値まとめ表
    CM,VLDLはTGが豊富。
    LDL,HDLはコレステロールが豊富。



    高脂血症の各要素の働き

    お薬のイメージ図
    高脂血症の各要素は先ほどまとめた通りです。
    次は、各要素がどのようにして脂質代謝を担っているかを詳しく見ていきましょう。

    高脂血症の要素①カイロミクロンとVLDLはTGを運ぶ

    TGがつくられるのは、肝臓脂肪組織であることに注意。

  • CMは食事由来のTG
  • VLDLは体内合成のTG
  • 高脂血症の判断にはこれらの要素が非常に重要なので覚えておこう。

    高脂血症の要素②apoBには2種類ある

    apoBが作られるのは、小腸と肝臓。
    しかし、作られる場所によってapoBの長さが変わることに注意する。

  • 小腸ではapoB48
  • 肝臓ではapoB100
  • 小腸ではapobec1が発現しているため、小腸で作られたapoB100は切断されてより短いapoB48となる。
    したがって、これらは同じapoBmRNAから作られているので、臓器特異的に2つの分子が作られていると言える。

    高脂血症の要素③アポプロテインの産生

    ERにおいて、TGは、MTPのもとパッケージングされ、これがアポプロテインとなる。

    このようにしてパッケージングされた脂質は、リンパ管、胸管、左鎖骨下静脈、肝臓の順に全身を循環する。
    ここで重要なのは、食事由来の脂質は肝臓を通らずに直接大循環系へ放出されるという点である。

    高脂血症の要素④TGの主な供給源

    TGは消化管内でミセルを形成する。
    主に十二指腸空腸で食事由来の脂質を分解しやすくする。
    すなわち、リパーゼが働きやすいようにする。
    これによってTGがバラバラにされ、吸収される。

    最後に小腸内でTGが再構築され、CMが輸送体となる。
    小腸ではNPC1L1を介して吸収される。

    コレステロールの供給源は
    75% 胆汁由来
    25% 食事由来

    これまでの内容をまとめた図

    脂質代謝のサイクル

    薬のイメージ図
    高脂血症では、脂質代謝のバランスが崩れることによって一部の負荷が高まり、それによって代謝異常を発症する。
    ここでまとめた基本サイクルは重要なので一連の流れは理解しよう。

    カイロミクロンのTG輸送と高脂血症のサイクル

    LPLはGPIHBP1によって脂肪組織や骨格筋の毛細血管内皮に固定されている。
    ここで、LPLはホモダイマーとして働く。

    LPLに仲介された脂肪分解はモノアシルグリセロール(MG)や脂肪酸を解放し、これらは周囲の組織に取り込まれる。

    特にTGを取り入れようとするのは、

  • 骨格筋
  • 心筋
  • 脂肪組織
  • で、中性脂肪は脂肪酸が多いためエネルギーrichである。

    中性脂肪は完全燃焼すると9kcal/gのエネルギーを持つ。
    ただし、BBBを通過できないため脳のエネルギーとしては利用できない。
    アセチルCoAへと分解される。

    ANGPTL4はLPL活性をモノマーの転換によって抑制する。
    LPLの脂肪分解はapoCⅡに依存している。

    ヘパリンがLPLから血中へと放出される。
    ヘパリンは冠血栓性狭心症の予防治療薬および心筋梗塞の発症予防薬のなかで抗凝固薬として用いられている。

    LPLはTGの50%を分解するため最終的にコレステロールrichなカイロミクロンRemnantとなる

    高脂血症と肝臓の関係

    肝臓は高脂血症の因子を受容する

    全てのカイロミクロンRemnantは肝臓で処理される。

    apoB48はLDLRのリガンドとして関与しない
    ApoEがカイロミクロンのLDLRリガンドとして働く。また、この働きはVLDLやLDLでも同様。
    apoEは肝細胞で主に合成され、循環系へ放出される。

    Hpepatic lipaseは肝細胞に多く見られ、apoCⅡ非依存的に働く。Remnantの取り込み時にその大きさを活かしてTGを異化して遊離脂肪酸を産生する

    apoEが肝臓取り込みの決定的な分子となる。
    LDLRが主な取り込み経路である。

    apoCⅡは主に肝臓で産生されるアポリポプロテインで、循環系へ放出される。
    apoCⅡ発現はPPARαによって減少し、高カロリーな食事やⅡ型糖尿病時に増加する。

    HDLが循環系中でカイロミクロンやVLDLへapoCⅡを供給する。

    高脂血症因子の肝臓を介したサイクル

    HDLはカイロミクロンやVLDL中のapoA1やapoCⅡをapoEと交換する。
    高脂血症のHDLの働きをまとめた図

    高脂血症の各因子の肝臓を介した代謝ルートは以下の図に示す。
    高脂血症の因子の肝臓を介したルートの図

    この過程の中でIDLはapoEを再度HDLへ輸送する
    LDLはapoB100のみ持つ

    ポイント

    apoEと比較してapoB100はLDLRへの弱いリガンドであるため、LDLは長く血中に滞在する。(2~4days)
    70%のLDLRは肝臓にあるが、残り30%は抹消にあるためLDLは抹消へコレステロールを運ぶ働きがある。
    しかし、LDLが過剰になると高脂血症、動脈硬化の原因となる。

    高脂血症進行による動脈硬化


    血中LDLが上昇すると組織中のLDLも上昇する。
    これらが参加されると脂肪層蓄積が起こる。

    スカベンジャーレセプター(SR)はマクロファージに大量のコレステロールが蓄積されても泡沫化を起こしてもダウンレギュレーションを起こさない。
    SRは酸化orアセチル化LDLを認識する。また、SRはマクロファージ表面に発現している。

    LDLには密度差があり、これはLDLRへのアフィニティにかかわる。
    密度が小さいほど動脈硬化を起こしやすい。

    高脂血症から動脈硬化の発症

    動脈硬化形成順序①健康な動脈壁

    白血球は感染場所へ移動するために動脈壁に付着して這うように移動する。

    動脈硬化形成順②脂肪層蓄積

    マクロファージが酸化LDLを貪食し、内部に脂肪がたまって泡沫化(ほうまつか)する。

    動脈硬化形成順③動脈硬化性プラーク蓄積

    泡沫化マクロファージやネクローシス細胞の塊が蓄積し、繊維性の膜ができる。これは慢性炎症となる。

    動脈硬化形成順④内皮の破裂と血栓の形成

    動脈硬化の完成

    高脂血症を助けるHDL

    女医さん

    高脂血症に関わるHDLのサイクル

    apoA1は肝臓から分泌されるか、ロ歩プロテインから解離して得られる。

    ABCA1ABCA1は肝臓の毛細血管に発現しており、微量のリン脂質や非エステル性コレステロールをapoA1へ合体させる。その結果、円盤状の分子であるpre-β-HDLとなる。

    マクロファージ上のABCA1はステロールやリン脂質と結合し、仲介することで初期のHDLから成熟HDLとなる。
    ABCA1はLXRやC-AMPによって活性化する。
    肝臓でのHDL形成

    成熟HDLがコレステロールを吸収する3つの方法

    ①多数の細胞のapoA1、SR-B1の相互作用を介する
    ②マクロファージ上のABCA1やABCG1を介する
    ③特殊な細胞の表面を介したタンパク質非依存的方法

    高脂血症にはたらく因子のサイクル

    LCATは肝臓で合成され、主にHDLへ結合する。

    apoA1はLCAT活性に重要。ほかのリポプロテインはLCAT活性を促進できる。

    LCATは表面のコレステロールを減らし、コレステロールエステルとしてHDL内部へ蓄積させる。

    PLPTは脂肪組織で高く発現しており、循環系へ放出される。PLTPはリン脂質を、apoBを含んでいるTGrichRemnant(VLDL、CMRemnant)分子表面からRemnantHDLへ運ぶ。

    PLTPはLCAT反応で消耗したリン脂質を補給できる。

    LCATやPLTPは細胞のコレステロールを取り除き、HDLへ移づ働きを促進する

    高脂血症に対するRCT

    考えるお医者さん
    RCTとは、Reverse Cholesterol Transportの略。
    Remnantであるリポプロテインは2つの異なる受容体を介してCE(コレステロールエステル)を肝臓へ輸送することができる。
    HDLからのCEの除去は細胞からHDLへのコレステロールの流出を促進し、SR-B1によるHDL取り込みの効率をよくする。

    Direct RCT
    肝臓以外のほとんどの組織とは異なり、肝臓のSR-B1はHDLからのコレステロール、コレステロールエステルの取り込みを促進し、apoA1をpre-β-HDLへ組み込む。
    Indirect RCT
    CETPは膜状タンパク質で、コレステロールエステルの50%をHDLからVLDL,CMなどへ渡す。

    CETP抑制因子であるトルセトラビブは、HDL中のCE増加や肝性リパーゼが仲介したTGrichなHDLの減少によってHDLレベルを維持する。
    RCTのまとめノート

    高脂血症で意外な盲点となる重要な胆汁脂質

    胆汁酸の合成


    肝臓だけが体内のコレステロールを除去できる。
    ①非エステル性コレステロールを胆汁中へ除去できる。
    ②コレステロールを胆汁酸へ転換する

    肝臓における胆汁酸の合成

    胆汁酸は肝臓でコレステロール7αヒドロキシラーゼを律速酵素としてコレステロールから合成される。
    コレステロールから胆汁酸を合成する反応

    胆汁酸のはたらき

    胆汁酸は膵液に含まれ、胆汁酸が作るミセルは非極性脂質分解物を取り込み、小腸内壁がなす水との界面を通って輸送される。

    腸管閉塞とは、食事で摂取した脂質をほとんど吸収せず、加水分解物を便中へ排泄する病気。

    脂溶性ビタミンA,D,E,Kを小腸で効率的に吸収するには胆汁酸が必要。

    高脂血症に特徴される腸肝循環の基準

    95%以上の胆汁酸は再吸収され、1日に0.4gしか排泄できない。

    余剰コレステロール摂取時でも排泄できないため、動脈硬化の原因となる

    治療方針は
    如何に排泄させるか?
    如何に吸収させないか?

    コレステロールの循環サイクル

    さいごまで読んでくださってありがとうございます。
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    ABOUT ME
    yuki
    日々研究に追われる理系大学生。専門は脳科学。 趣味は囲碁と中国語。 性格はおだやかで人懐っこいと言われる。 詳しい自己紹介はyukiのプロフィールをご覧ください。

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