このURLを評価 Your SEO optimized title page contents
囲碁ニュース

囲碁最強人工知能『絶芸』その強さに迫る

今回の主人公は、『絶芸』です。

人工知能の発展が目を引く現代囲碁界ですが
彼らの成長の裏には開発者のたゆまぬ努力がありました。

人工知能が生み出す華麗な一手にも注目が集まりますが、それを支える開発者の努力にも注目してみましょう。

今回のテーマは、絶芸が世界一になるまでと今後の発展です。

それではお楽しみください。

中国の棋神『絶芸』

元の記事→中国围棋AI“绝艺”:棋盘上的新神祇
深海老咸鱼
投稿日 2017-03-29 09:36
本文作者:大白

絶芸と人類
現代の囲碁棋士は先代の棋士に比べるといくぶん、苦悩が多い。
なぜなら成功者となった棋士は、ほぼ必然的に電脳戦へと招待されるからだ。

この場で盤を挟んで座るのはもはや人間ではなく、人間によって作り出された機械の神なのだ。

奴らの計算能力は底知れず、実戦経験は自分たちと比べて星の数ほど。
さらに奴らはうぬぼれたり焦ったりすることなく、心は氷のように冷たい。
たとえ三日三晩続けて対局したとしても奴らの体力はちっとも衰えることはない。

2016年、アルファ碁が囲碁界を一掃したのに伴って、AIが人類を超えるのはもはや時間の問題であるとわかった。
囲碁の原点である中国の棋士たちにとっては、AIについて習うことは、囲碁の『道』を探ることが目に見えるものになるという共通の認識がある。

私たちの心の救いどころは、グーグルがAI囲碁界に参戦した1年後、ようやく自分たちの囲碁の神が現れてくれたことだ。

その名は絶芸。2017年3月18日、絶芸は世界各国から集まった囲碁AIに対して11連勝を成し遂げ、UCE杯コンピュータ囲碁大会で優勝に輝いた。

3月26日には、絶芸は第5回電聖戦で日本の期待の星、一力遼を下した。

絶芸へ通じる道

绝艺如君天下少,闲人似我世间无
あなたのように優れた碁打ちは世に少ない。一方で私ほど暇な人間はこの世に存在しない。
(友人の優秀さを自嘲を含めてほめたたえる詩)

これは杜牧の『重送絶句』という詩の一節だ。

これは絶芸の名の由来である。テンセントが開発し、2016年3月4日に第一号が誕生したという。
もしこの時を絶芸の誕生日とするなら、彼はまだ生まれてたった数年ということになる。

絶芸の棋力はニューラルバリューネットワーク(神经价值网络)を基にしている。

ニューラルバリューネットワークは二つの部分に分けられる。

1つ目は戦略のネットワーク。
戦略のネットワークは人間が対局した棋譜を通して学び、メインの機能は盤面計算によって一手ごとの確率を計算して選択することである。

2つ目は評価ネットワーク。
評価ネットワークは自分で対局するとともに学び、メインの機能は各盤面での勝率を導くことができることである。

この二つの機能が結合し、絶芸はどの一手が良いのか決定することができる。
絶芸は打つ手を計算する

誕生当時、絶芸は決して今ほど強くなかった。

基本的な構築が完成した時、絶芸の棋力はだいたいアマチュア五段前後だったという。

絶芸が初めて勝った相手は、アマチュア三段のテンセント副社長、姚新さんだった。
これは開発チームをとても興奮させた。

しかしこのあと二ヶ月間、絶芸の発展は停滞期に入ってしまう。他の囲碁ソフトと対局しても多くは負け、たまに勝つ程度であった。
絶芸の開発チームにとって、この二ヶ月間は紛れもなく苦痛だったという。

しかし彼らのたゆまぬ努力によって、絶芸はこの壁を打ち破った。
自分との対局で得たデータを分析し、さらに開発チームの日々の調整を受けて絶芸はコンピュータの中でずば抜けた存在となった。
そしてランク1位と名の高いアマチュアにも打ち勝った。

この時から、開発者は絶芸を世に出す時、世界中へ走らせる時をようやく決定した。

人工知能『絶芸』の出陣

2016年8月、絶芸は野狐囲碁へ進出した。最初のIDは『虎虎有生气』だった。

『虎虎有生气』の野狐囲碁での勝率は70%に達し、8月23日、初めてプロ棋士を打ち破った。

9月になると絶芸は『野狐扫地僧』に名前を変え、再びネットへ姿を現した。

プロ棋士との対局の勝率は80%に達したが、プロ棋士の孔令文七段に8回連続で破れた。
絶芸と孔令文
【関連記事】日中囲碁界の架け橋!聶衛平、孔令文親子に迫る!

その後すぐに、開発者は絶芸の実力は常に安定しておらず、特定の状況下でレベルの低いミスを犯し、相手にチャンスを与えてしまうことに気づいた。

このような局面に対面し、世界チャンピオンの罗洗河さん(当時の三星杯の大魔王、李昌鍋をその座から引きずり降ろした)は開発チームに加入し、プロ棋士の身分である彼は絶芸の重要な恩師となった。

当時の開発チームの平均年齢は28歳で熱心な精鋭たちが子供を教育するように絶芸の訓練を行っていた。

盤上で手数を攻め合う石について、罗洗河は異なる観点を示した。彼の目には、チームの若者とともに作り上げたのはプログラムではなく、囲碁の神のように映っていた。
囲碁の攻め合い

罗さんの加入によって絶芸はさらに進化した。

111月1日、『絶芸』はついに本名で野狐囲碁に現れた。さらに世界チャンピオンの江維傑を打ち破った。

11月19日の夜、絶芸は囲碁の申し子、柯潔と対戦し、また勝利を収めた。

11月28日、絶芸は韓国の棋士、朴廷桓とマッチングした。5局の連勝の状況下で、開発者は若干の心苦しさを感じていた。

なぜならこの時すでに深夜で、彼は次の日大きな手合いを打たなければならなかったからだ。
武士の情けをもって、開発者は自ら対局の秒読みの時間を増やし、これで朴廷桓に1局を譲った。

朴廷桓は次の日の対局に勝ったのだが、これはまた他のテーマのときに解説してもらうことにしよう。

絶芸と朴廷桓
もし一晩で2連敗していたら、あの対局はどうなっていたのだろうか

11月は絶芸がその名を馳せた一ヶ月となった。

このひと月で、絶芸は数え切れないプロ棋士を打ち破り
日中韓世界チャンピオン、全国チャンピオンとの対面対局は勝率90%以上を達成した。

さらに、これまでお話ししたことは全て一年という時が過ぎることなく実現したことである。

囲碁は武道と同じく、その『間』や『潜在性』には多くの哲学が語られている。

しかし徹底的に研究するとそれは始めから終わりまで勝ち負けを争うゲームであり、『絶芸』開発者にとっては、世界1位という称号はどうしても諦めきれない目標であるという。

そこで、彼らは絶芸をUCEへと向かわせた。
そう、第10回コンピュータ囲碁大会だ。

囲碁界へその名を馳せる

UCEに参加したのは皆、各国から集まった囲碁AIであるため対局にはよくドラマ的な場面が登場し、
さらに開発者たちは毎年各項目を大きく改良して対局に臨むためUCEの優勝を予測するのは非常に難しい。
UCE杯トーナメント表

絶芸のトーナメント初戦は日本の『勝也』だった。

面絶芸に面と向かうと勝也はその実力を十分に発揮できず、最後は絶芸が50目以上の差をつけて、開幕戦を勝利で飾った。

絶芸と勝也
絶芸が白番。中盤の時点で勝ちが確定した。

絶芸の二番の相手は韓国の『石子旋風』
これも同様に少しも危なげない対局だった。

絶芸が最後にミスを犯したかどうかにかかわらず、それまでの優勢が明らかであったため、最後は絶芸が27目半の差をつけて勝利した。

絶芸と韓国のAI
絶芸が黒番

絶芸の準決勝はもう一つの日本代表『Rayn』だった。その棋風はまるで猛獣のようだった。
対局中、絶芸はとても落ち着いた打ち方で相手の攻勢を崩し、相手の石を中手で取り込んで大勢を喫し、またも中押し勝ちを収めた。

絶芸と日本代表
絶芸が黒番。中押し勝ち

決勝戦の相手はかつて何度も優勝した囲碁人工知能の先駆者、『DeepZenGo』だ。『地震犬』とも呼ばれている。(中国語の発音が似ているため)

絶芸、アルファ碁、DeepZenGoは全てニューラルバリューネットワークを基にした人工知能で、かつて野狐囲碁で人類のトップを打ち負かしたものだ。(特に目を惹くのは、絶芸とDeepZenGoが朴廷桓を倒したことだ)

AIに負ける朴廷桓
こんな写真見たくない?

この対決の背景はまるで武侠小説のように、片方は既に名の通った武術会の先輩、対するはデビューしたての新人だ。

対局はドマラチックな展開に溢れたものだった。布石はDeepZenGoが明らかに優勢だったが、
重要な局面で絶芸が先に右上隅に打ち込んで黒を取りに行く冒険を仕掛け、さらに巧妙な打ちまわしで何もないところに手を生じさせ、相手の腹を大きくえぐった。

この場面での頓死で形勢ははっきり傾き、DeepZenGoには巻き返しのチャンスがなく、最後は投了した。

絶芸が世界一になった棋譜
絶芸が白番。右上で逆転に成功

このUCE杯で、絶芸は世界王者の地位を着実に築き上げた。

続けて小さな試合でも、絶芸は11連勝という優秀な成績を収め、日中韓の有名なAI全てを打ち負かした。

さらに絶芸が今回日本で見せた偉業はこれに留まることなく、私がこの文章を書いた頃にはもう塗り替えられているだろう。

そして日本電気通信大学主催の電聖戦で、絶芸は日本囲碁界期待の星、一力遼を打ち破った。
この対局は多くのプロ棋士に名局だと賞賛され、多くの棋士はようやくAIは人間が作ったものであることを意識した。

しかし棋士にとっては、囲碁界の未来は発展中でAIはもしかしたら自分たちの先生になるかもしれないという。

だか囲碁に頼らず飯を食う我々にとって、絶芸の存在はもしかしたら、ただ次のことを証明するだけかもしれない

それは囲碁界の最高レベルの対決とは人工知能同士によるものかもしれず、囲碁と同じくそれらは中国出身なのである。

興味深いのは、BAT御三家(バイドゥアリババ、テンセント)がAI技術の発展に大きく力を注いでいることである。

よりによってこの前、宣伝にもっとも消極的だったテンセントが国際舞台で先に人工知能の発声を披露して、以前までメディアが示していたテンセントのAI技術への積極性は低いという見解は完全に打ち崩された。

未来の中国国内の人工知能技術の発展はますます予想がつかなくなっている。

さいごまで読んでくださってありがとうございます。

今までの全記事のまとめは記事のまとめページからご覧いただけます。

ABOUT ME
yuki
日々研究に追われる理系大学生。専門は脳科学。 趣味は囲碁と中国語。 性格はおだやかで人懐っこいと言われる。 詳しい自己紹介はyukiのプロフィールをご覧ください。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA