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【全棋譜あり】囲碁タイトル名人戦張栩VS井山裕太!

囲碁のタイトル戦は長い歴史を持ちますが、名人戦はその中でも特別に知名度の高いタイトル戦ですね。
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これまでの囲碁界に数々の記録と棋譜を残してきた張栩九段と井山裕太名人は、第43期囲碁名人戦で再び歴史に残る名勝負を演じてくれました。

六冠を所持し、日本最強棋士と呼ばれる井山裕太名人。

その最初の七大タイトルは、20歳の時に張栩元五冠から奪取した名人位でした。

9年前の名人戦で死闘を繰り広げた2人が、平成最後の名人戦で再びぶつかり合います。

歴史に残る名人戦になることは間違いないでしょう。

現王者元王者の激戦に注目です。

【全棋譜あり】囲碁タイトル名人戦張栩VS井山裕太!

対局 日程 対局会場
第1局 2018年8月28日(火)、29日(水) 東京都文京区「ホテル椿山壮東京」
第2局 2018年9月12日(水)、13日(木) 愛知県田原市「角上楼」
第3局 2018年9月25日(火)、26日(水) 鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」
第4局 2018年10月10日(水)、11日(木) 兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」
第5局 2018年10月15日(月)、16日(火) 山梨県甲府市「常盤ホテル」
第6局 2018年10月22日(月)、23日(火) 静岡県熱海市「あたみ石亭」
第7局 2018年11月1日(木)、2日(金) 静岡県河津町「今井壮」

主催は朝日新聞社・日本棋院・関西棋院
優勝賞金は3100万円
出場資格は全棋士

張栩VS井山裕太名人戦の結果・棋譜

9年ぶりの対戦となるこの組み合わせ。
井山裕太が時代を築くきっかけとなったのも、当時張栩五冠王から名人を奪取して最年少名人になったことでした。
そんな二人の激戦の記録を棋譜とともにお楽しみください。

棋士名 勝数 第1局 第2局 第3局 第4局 第5局 第6局 第7局
張 栩
井山裕太

第43期(2018年)囲碁名人戦第1局

対局日 2018年8月28日・29日
対局会場 東京都文京区「ホテル椿山壮東京」
黒番 井山 裕太 名人
白番 張 栩 九段
結果 黒番中押勝ち



棋譜再生

両者ともに1日目の形勢は互角、2日目の右辺コウで黒が得して優勢を築いたという見解でした。
黒番:井山裕太名人 中押勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第2局

対局日 2018年9月12日(水)・13日(木)
対局会場 愛知県田原市「角上楼」
黒番 張 栩 九段
白番 井山 裕太 名人
結果 白2目半勝ち


棋譜再生

難しい局面が続き形勢不明の中、黒83が打ちすぎで守っていたほうが良かったみたい。上辺を取り込んではハッキリ白が優勢になりました。
井山名人が最後の最後に黒243をうっかりしていたらしいですが、それでも白が残っていました。
白番:井山裕太名人 2目半勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第3局

対局日 2018年9月25日(火)・26日(水)
対局会場 鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」
黒番 井山 裕太 名人
白番 張 栩 九段
結果 白4目半勝ち


棋譜再生

新型が登場した序盤は、対局者検討室ともに白が打ちやすいという見解で一致。黒が積極的に仕掛けていくなか、112手目白が仕掛けたコウが局面を難しくしてしまいました。白はG17に守っているくらいで黒地は大きくまとまらず白がハッキリ良かったそうです。実戦は大きな振り替わりが発生して黒が優勢になりましたが最後のヨセで白200,202のコンビネーションが上手く白に形勢が再逆転。その他、細かいヨセでやや白が得をして最後は差が開いてしまいました。
白番:張栩九段 4目半勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第4局

対局日 2018年10月10日(水)・11日(木)
対局会場 兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」
黒番 張 栩 九段
白番 井山 裕太 名人
結果 白中押勝ち


棋譜再生

序盤は黒の流れが良いという意見が多く、二日目の展開が期待されていました。右上隅の死活で、黒のハネは2目損の手。張栩九段には何か誤算があったかもしれません。すぐに気づいたと思いますが、そこから焦りが出たのか右下の折衝で明らかに白が優勢になりました。中央のしのぎ勝負に賭けましたが井山名人の鋭い攻めが功を成しました。

白番:井山裕太名人 白中押勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第5局

対局日 2018年10月15日・16日
対局会場 山梨県甲府市「常盤ホテル」
黒番 井山 裕太 名人
白番 張 栩 九段
結果 白9目半勝ち


棋譜再生

新型が次々と登場する序盤は、右辺でポイントを挙げた白が優勢だったようです。穏やかな進行が続き、ヨセ勝負に突入するかと思いきや右辺コウから衝撃的な変化が起こりました。井山名人の199手目のツケが妙手で、黒が起死回生の一撃を放って白は投了するかと思われていました。しかしその直後。200手目のツケが上手く、黒はコウを避けられなくなってしまいました。勝負が決まったのは223手目、黒がコウダテとして打った手は白に手抜きされてコウが移動しましたが、コウ材は白が多いため黒は下辺を捨てざるを得なくなりました。黒番の井山名人は秒読みに追われて形勢判断ができなかったようですが、中央のコウを続けて右辺を取り込む変化になれば黒がやや厚かったようです。実践のような振り替わりになってしまうと他に紛れる余地もなく白が逆転しました。
白番:張栩九段 白9目半勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第6局

対局日 2018年10月22日・23日
対局会場 静岡県熱海市「あたみ石亭」
黒番 張 栩 九段
白番 井山 裕太 名人
結果 黒中押勝ち


棋譜再生

序盤ではマネ碁風な進行が一時期ありましたが、結果は黒が上手く打ち進めました。白はマネ碁をやめた右上隅へのカカリでマネ碁を続けているのが良く、実戦のように左上隅をいじめられた後に右下のハイに回わることになっては黒のほうがハッキリと良い形を作っています。その後特に大きな戦いもなく進行していくのですが、なぜか次第に形勢は黒に傾いていきました。井山名人は少しずつ我慢の手を重ねたことによって見えない損が積み重なって形勢を悪くしたのでしょうか。最後に中央の逃げ出しから勝負を仕掛けましたが、黒153が冷静な好手で黒はコウを譲っても地合いで大差がついています。今局は張栩九段の名局と言えるでしょう。
黒番:張栩九段 中押勝ち

第43期(2018年)囲碁名人戦第7局

対局日 2018年11月1日・2日
対局会場 静岡県河津町「今井壮」
黒番 井山 裕太 名人
白番 張 栩 九段
結果 白4目半勝ち


棋譜再生

序盤は井山名人の戦略的な実利作戦と張栩九段の早打ち作戦がぶつかり合いました。張栩九段は昔から実利を好んでいることもあり、井山名人は張栩九段の得意な碁形を外すためにこのような打ち方を下のではないかと思われます。対して張栩九段は大模様作戦ながら下辺に地を作ってバランスを取りつつ、中央に二間シマリをつくる冷静さを見せました。初日はお互いに慎重に打ち進めている印象で、形勢は白が良さそうだけど黒のほうが作戦を立てやすくて打ちやすそうだという解説者の意見でした。しかし封じ手のツケから白は黒を切断し、一気に勝負が始まりました。白の攻めが上手く決まっているように見えていましたが、黒の井山名人は辛抱しながら凌いでいき、みるみる中央に黒地を作ってしまいました。この時点で形勢は半目勝負ですが、ちょっとだけ黒が有望だったようです。細かい形勢の中井山名人は秒読みでどうすれば良いのかわからなかったと言っています。結果的に黒167が悪く、14-12に曲げていれば黒が半目から1目半勝っていたようです。171はコウを覚悟のうえで打ったのですが、実際に白からコウを仕掛けられると黒はどうやても得する方法がありません。AIによると黒171の時点でも守っていれば黒が勝っていたようです。井山名人は秒読みに追われて形勢的に自信を持てなかったと言っていましたが、実際はコウをうっかりしたのではないか。。。と思ってしまいました。白はすかさずコウを仕掛け、形勢は一瞬にして白が優勢になりました。張栩九段はずっと残していた持ち時間を十分に活かして冷静にコウを解消し、名人奪還を成し遂げました。今回の名人電は七局全てが歴史に残る名勝負だったと思います。張栩名人、本当におめでとうございます!
白番:張栩九段 4目半勝ち

第43期(2018年)囲碁名人リーグ戦の結果

第43期名人リーグ
リーグ戦の注目は芝野虎丸七段
若干18歳ながら国際戦での活躍に加えてリーグ入り、さらにリーグ2位の成績を挙げました。
来季のリーグ戦にも期待が高まります。

そして9年ぶりの名人奪還を目指す張栩九段。
元5冠王の実力を誇る平成四天王の一人ですが、最近は無冠になるうえリーグ陥落と不調が続いていました。
注目の今期は勢いに乗る芝野虎丸、本因坊戦挑戦者の山下敬吾を抑えての全勝優勝
この勢いのまま名人奪還までたどり着けるのでしょうか?

名人戦とはどんなタイトル戦?

一般の方にもなじみ深い『名人』という言葉。
囲碁の名人を取ることは、日本で最も強い棋士であると認識されることになります。

そんな名人戦はどのようにして生まれたのでしょうか?

名人戦の起源は日本最強決定戦
これは呉清源九段を中心とした6人制リーグ戦でした。

旧名人戦は読売新聞社の主催で1961年に発足。
この裏には財政に苦しんだ日本棋院が、契約料増額と引き換えに名人戦の主催を各新聞社に持ちかけた話がありました。
そして引き受けたのが読売新聞社で、旧名人戦の主催者となりました。

1974年、高度経済成長期にあった日本にありながら契約金が一向に増加しないことに不満を持った日本棋院が読売新聞社との契約を打ち切り、朝日新聞社へ契約を持ちかけます。
1億円という高額な契約料で朝日新聞社はこれを承諾しました。
その後、読売新聞社と理事内の争いがありましたが、現在ではすでに読売新聞社と日本棋院は和解しており、読売新聞社は棋聖戦の主催を担っています
こうして今の名人戦である、朝日新聞社主催の新名人戦が誕生しました。

今年で43年目を迎える名人戦。
世界中を見渡しても、40年の歴史を持つ棋戦は数えるほどです。
2日制の番碁という日本独特の囲碁をこれからは私たちが受け継いでいかなくてはいけませんね。

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